今回の船旅は、「日本一」をめぐる南九州の旅をテーマにモニター応募したところ当選したものである。
したがって、極力「日本一」を巡らなければいけないのだが別府-阿蘇-霧島-指宿-志布志の行程上に僕の頭の中にそうそう「日本一」が浮かんでくるものではない。まあ、走りながら「日本一」を探すとするか。
そんなこんなでやってきたのは大阪南港ATCフェリーターミナルである。ここから九州への旅が始まるのだ。我が家からは神戸六甲アイランドより大分行に乗船するほうが便利なのだが、何せ阪神-別府航路は開設百周年を数える日本一の歴史あるものだからこれに乗らぬ訳にはいかない。
「さんふらわあ あいぼり」に乗り込み、大阪出航後しばしデッキで佇む。神戸ポートタワーや市章山が見えて来た頃に階下に降りるとなぜか華やいだ雰囲気だ。この日は船内ジャズコンサートが催されているのだ。
無聊な船旅を覚悟していたが、おかげで印象深い船旅になった。
二日目の朝、別府入港である。源泉数日本一を誇る別府の街のあちらこちらから立ち上る湯煙は低く垂れこめた雨雲と一体と化している。この雨の中、湯布院-筋湯温泉-阿蘇(南郷谷)と駆け抜ける予定だ。
「日本一の人道橋吊り橋」九重夢の吊り橋、「日本一の打たせ湯」筋湯温泉までは雨具なしでもなんとか走れた。自分以外誰もいない筋湯温泉「うたせ湯」を堪能したあとは大粒の雨とともにガスが出て視界も利かない。おまけに雷雨注意報発令とのことで我が国最大の地熱発電所、八丁原発電所も構内見学不可とのこと。そんなこんなで阿蘇谷に着いたものの阿蘇登山は諦めざるを得ず、本日の宿泊地、南郷谷へ向かい高森町の「湧水トンネル公園」にて時間をつぶした後早めのチェックインにて栃木温泉に投宿。
- 筋湯温泉
- 高森湧水トンネル公園
三日目もやはり雨である。人吉-霧島-指宿と走る予定だ。人吉までは当初予定の国道445号経由を諦め、高速利用とする。人吉では藁葺屋根が特徴的な最南の国宝建造物、蒼井阿蘇神社にお参りし天候の回復を祈念する。ほんの少し宮崎県えびの市をかすめ、霧島に向かうもやはり雨。何も見えないが道端の噴気孔から「ゴー」という音とともに蒸気が噴き出すさまは圧巻である。あまりにしつこい雨なので霧島神宮で再度お日様が顔を出すようお祈りをする。少しは効果があったようで鹿児島市付近から晴天になったが、本日の残りの行程は「日本一安い旅館」指宿市山川のくりや食堂旅館部を目指すのみである。宿では「かつおのたたき定食」と天然温泉を満喫し爆睡。気が付いたら四日目の朝だった。
- 蒼井阿蘇神社
- くりや食堂
この旅初めての快晴の日、午前中に開聞岳、池田湖周辺を回った後フェリーで大隅半島へ、鹿屋市を経て志布志から帰途に就く予定である。
JR最南端の駅西大山駅や池田湖のお土産屋で大うなぎを見学後、フェリーで大隅半島へ渡る。目指すは本土最南端、佐多岬である。岬の先っぽに近づくにつれ、サルの集団が闊歩している。コワイコワイ。おまけに何かわけのわからない気根を垂らした大木が生えていて気味が悪い。実はこれ、ガジュマルの木だそうだ。神様が宿る木なのだ。
鹿屋では海上自衛隊の基地に併設された航空基地資料館を見学する。かつてここは航空特攻の基地でもあったことを思うとこみあげてくるものがあった。
- 開聞岳
- 西大山駅
- 佐多岬
志布志から「さんふらわあさつま」に乗船、船中ではまたも爆睡である。気が付けば関空沖、あっというまの五日間であった。