最悪の目覚めである。いや、そもそも眠ったのかどうかすら、定かではない。。。
乗船モニターに決まり、頭に浮かんだレポートの冒頭である。船上でまともに眠れるはずがない、という思い込みがあった。
間違っていた。実際は至極快適であった、と言わざるを得ない。あれは本当に船の上だったのだろうか。今もって、信じられない思いである。
旅における「移動」のあり方は、人それぞれ。目的地に行くために仕方の無い退屈な時間。避けられるものなら避けたい。そう思う人もいるだろう。
私は「移動」を楽しみたい。だからバイクに乗っているのかもしれない。バイクは走ることが楽しい。目的地へ行く迄の時間もまた楽しい。いや、目的地など無くても構わない。走るために目的地を見つけている、といった方が正しいとすらいえる。
「さんふらわあ」に乗っている時間は、とても楽しいものであった。ツーリングの目的地へ行くための手段ではなく、ツーリングの一部であった。そして、楽しく快適なこの時間があったからこそ、ツーリングがより楽しいものになったのだ、と思うのである。
バイクにまたがり、大きく口を開けた「さんふらわあ」の中へ、いざ入っていく。感じたことのない、異様な興奮を覚えながら、慎重に走る。作業員の手によって、バイクはあっけなく船体にくくりつけられた。いかにも船の内部と思わしき空間を歩き、階段を3階まで上ると、うって変わってホテルのような建物の中にいる自分に気付く。魔法のようだ。
食堂は既に混雑していた。部屋に荷物を置き、ツーリング仲間達と食堂へ向かう。ずらりと並んだバイキングメニューに、ついあれもこれもと皿に盛ってしまう。どんどんテンションが上がっていく。
仲間達と歓談しながら、舌鼓を打つ。ふと食堂の窓を見ると、かすかに振動している。はたして、既に出航している様子。全く気付かなかった。それほど、揺れも何もないのである。
満腹。はたと思い出した。明石海峡大橋。皆で甲板に上がる。もの凄い風。思わず叫び出す。普段ではあり得ない程のハイテンション。
何度となく見たことも、通ったこともある橋を、始めて真下から眺めた。船上ならではの景色に感動。
2段3列のベッドが部屋の両側に並んでいる。そのひとつに横たわると、いつしか眠りに落ちていた。気がつくと朝になっている。船の上で熟睡。起き上がり甲板に上がる。昨夜とは違う景色。あいにくの曇天ではあるが、強く流れる空気が気持ちいい。
いざ、光の中へ。頭の中では、ワグナー「ワルキューレの騎行」が流れている。
「さんふらわあ」をバックに記念撮影。隊列を組んで出発する。やまなみハイウェイ。狭霧台。長者原。とても言葉では言いあらわせそうもない絶景の連続。だから語らない。写真と動画で雰囲気を感じ取っていただければ幸いである。
- 「さんふらわあ」をバックに記念撮影
- やまなみハイウェイ
- 狭霧台
- 長者原
地鶏焼きの昼食に大満足。白川水源でおいしい水を飲んだ。地面から湧き出る水に興奮。阿蘇山頂には登れなかったが、景色は堪能。
雨予報の中、ここまで、雨らしい雨にも遭わず走ることができた。が、最後の最後で雨。天空の道は通行止め。唯一の心残りであった。いつかリベンジしたい。
- 昼食
- 阿蘇山草千里
- 天空の道
どれほど楽しくとも、一日走ると疲れるものである。帰り着くまでがツーリング。油断はできない。しかし、今回は違う。「さんふらわあ」が連れて帰ってくれる。乗り込んでしまえば、油断歓迎。
懲りずに盛りすぎて食べ過ぎたあと、ゆっくり風呂につかる。ベッドに横たわると、いつしか朝になっている。楽しく快適。最高。
雨予報が吹き飛んだ、晴天の朝。甲板で眺める明石海峡大橋は、先日とは違う顔をみせる。
南港をあとにして、彩都へ向かう。
見慣れた景色に、現実へ引き戻されていく。
まるで夢を見ていたようである。
以上、2015年5月22日夕方より、5月24日朝まで。現地0泊、船中泊の旅。
レンタル819茨木彩都店主催、フェリーさんふらわあ協賛、熊本弾丸フェリーツーリングのレポートをお届けした。
本レポート連動動画