大阪→鹿児島「さんふらわあ号」
1泊2日のフェリー旅の記録

ハイスピードで目的地へ到着してガーッと観光するよりも、行き帰りの移動も楽しみたい派です。むしろ移動こそが旅!

そんな「移動も楽しみたい派」にとっても素敵なのが船旅です。船旅と聞くと「時間がかかるんじゃないの?」と心配する向きもあるかもしれませんが、熟睡している間に現地に到着し、朝イチから元気に活動開始できると思うと、かなり合理的だと思いませんか?

今回は大阪から鹿児島行きのフェリー「さんふらわあ きりしま」に乗船し、1泊2日(船中泊1泊)の鹿児島旅を実践してきたのでそれをレポートします。もちろん必要なコストも旅の大事な要素ですので、そのあたりも触れていきたいと思います。船旅に興味のある人はぜひ最後まで読んで下さいね!

大阪と鹿児島を結ぶ「さんふらわあ号」とは?

「さんふらわあ号」は、大阪・神戸を起点として別府、大分、鹿児島と九州への3つの航路が運航されています。

別府行きは「さんふらわあ あいぼり・こばると」
大分行きは「さんふらわあ ごーるど・ぱーる」
鹿児島行きは「さんふらわあ さつま・きりしま」

今回の鹿児島旅で乗船したのは「さんふらわあ きりしま」です。執筆時点での航路と時刻表は次のようになっています。

さんふらわあターミナル(大阪南港コスモフェリーターミナル)を出発し、15時間をかけて鹿児島の志布志港へと到着します(15時間って実はあっという間に感じた)。

「さんふらわあ きりしま」の全長は186m、全幅は25.5m、12,418トン、旅客定員が921名の巨大なフェリーです。乗用車は140台、トラックは175台の積載が可能です。航海速力は22ノットなので、時速40km程度での航海です。

客室はデラックス、デラックスB(和室・洋室)、ファースト、ファーストシングル、ツーリストベッド、ツーリストがあります。

デラックスとデラックスBは定員2〜3名の個室で、ソファにデスク、シャワーまたはバスがあります。豪華な客室ですが、昨今は最初に予約が埋まっていく人気の客室となっています。

ファーストは2段ベッドが2つある洋室でファミリー向きです。ファーストシングルはベッドのあるワンルームタイプで、自分の空間を大切にしたい人向きです。

ツーリストベッドは相部屋タイプの2段ベッド。ツーリストはいわゆる大部屋と言われるタイプで、昔ながらの船旅というとこれを思い出す人も少なくないでしょう。

気になる運賃ですが、2017年1月1日〜2018年3月31日の乗船分は以下のようになっています(「船に泊まろう」プランの割引料金で前日までに予約が必要)。

デラックス 39,000円/2名
デラックスB 38,980円/2名
ファースト 28,000円/2名
ファーストシングル 16,500円/1名
ツーリストベッド 9,500円/1名
ツーリスト 8,100円/1名

他の交通機関との比較もあると思いますが、大阪から鹿児島までの交通費&宿泊費として考えた場合にどう感じるでしょうか?ぼくは「安いカモ‥‥」と思いました。

「さんふらわあ」に乗った感想

それでは実際に「さんふらわあ」に大阪から乗船し、船の中で一泊して鹿児島まで行った体験はどうだったか、ということを最初に書いておきます。

結論としては「120%アリ」です!

恐らく大阪から鹿児島へ行こうと考えると、手段としては新幹線や飛行機、または高速バス、もしくは自分でクルマを運転していくといった方法を考えるはずです。いずれもメリット・デメリットがあり、どの手段が良いかは時々の事情にもよりますが、

・移動と宿泊がセットになっている(移動自体が楽しめる)
・しっかり睡眠がとれるので朝イチから元気に行動できる

というところに共感して頂けるなら、船旅は最高にグッドな選択肢です!

特にデラックスルームはベットでゆっくり睡眠がとれますし、リラックスできるソファもあり、さらにはバス・トイレ付き、アメニティも充実しているのでホテルに宿泊しているのと全く同じ感覚です。

グループ旅なら夕食の後に部屋呑みをするも良しですし、とにかく移動していること自体を大いに楽しむことができます。

熟睡してすっきりと目が覚めたら9時に鹿児島です。下船してレンタカーを借りたら、体力気力充実で鹿児島観光へレッツゴー!他の交通手段だと、なかなかこうはいかないのではないでしょうか(やたらと早起きしたり、よく眠れなかったり、とか)。

デラックスだと20,000円/名程度ですが、この快適さ、体調の良さ、時間が最大限有効活用できるところから考えるに、実はとんでもなく実用的な旅の方法ではないかと思いました!!!

旅の途中で知った余談ですが、この「さんふらわあ」があることで、鹿児島と大阪というのはとても近い関係にあるようです。

例えば、この0泊3日も可能な「弾丸フェリー」なるプランです。

なんと大阪と鹿児島が往復で1万円。鹿児島の中高生は「さんふらわあ」に乗って大阪に買い物に行くんですって!とてもじゃありませんが、陸路で鹿児島の中高生が気軽に大阪に行くというのは難しいでしょうからね。船のある青春の1ページに、ちょっとじんわりしてしまいました。

それではフェリーの中で、どんな船旅ライフを送れるのかを具体的にご紹介します!

港に到着から「さんふらわあ」乗船まで

今回の旅ではフェリーターミナルまでは鉄道を利用しました。クルマで旅をする場合は、もちろんターミナルまではクルマです。

チケットの購入や受け取りはこちらの窓口で行います。近くに無料の待合所もありますし、ドリンクバーのあるファミレスやコンビニもあるので、待ち時間も快適でしょう。買い忘れたものがあっても大丈夫、これまたすぐ近くに100円ショップもあります。

志布志行きの第2ターミナルへはシャトルバスで移動します。

シャトルバスは10分間隔で運行しています。

第2ターミナルにも待合所がありますので、早めに到着した方はこちらに移動していてもよいでしょう。

新しい建物でキレイです。

目の前には「さんふらわあ号」が停泊しており、時間がきたら乗船です!

客室とアメニティ(デラックス・デラックスB)

宿泊したデラックスとデラックスBの客室をご紹介します。場所は7階になります(6階がロビー階)。101〜110がデラックス、201〜236がデラックスBです。

デラックスB

ベッドは2つ、それぞれに浴衣とタオルが用意されています。

デスクには水が置かれています。

シャワー、トイレ、洗面台があります。トイレはシャワートイレになっていて驚きました。

バスタオル、歯ブラシ、ドライヤー、ボディシャンプー、シャンプー、コンディショナーは備え付けです。

テレビの裏とその足元にコンセントがあります。延長タップがあると便利かもしれません。電気ポットもあるので、売店でカップ麺を購入してくればそれを食べることもできます。

デラックス

デラックスは広いリビングスペースがあるのが特徴です。

ベッドは2つ、それぞれに浴衣とタオルが用意されています。

テレビの裏にコンセントがあります。テレビの下には冷蔵庫があり、水が2本入っていました。電気ポットもあるので、売店でカップ麺を購入してくればそれを食べることもできます。

デラックスはバス付きです。ボディシャンプー、シャンプー、コンディショナーは備え付けです。

バスタオル、歯ブラシ、ひげそり、ドライヤーも備え付けとなっています。トイレはもちろんシャワートイレです。

さらに空気清浄機まで! これにはかなり驚きました。

窓の横にコンセントがありますが、枕元からは遠いので、延長タップがあると便利かもしれません。

コンビニ並みの価格の売店

事前にウェブサイトで情報を調べていたところ、売店の価格がコンビニ並みというのが気になりました。往々にして船内だと通常よりも高い価格になっているのが一般的だと思っていたからです。

売店の営業時間は20時30分までと少し早めですが、閉店後も自動販売機が充実しているので、特に問題はないと思いました。売店は乗船時から開始しており、翌日も7時から下船まで営業しています。

スナック菓子や酒のおつまみのようなものから、お土産やオリジナルグッズまで様々なものの取り扱いがあります。価格はほぼコンビニと同じです。高くて購入を躊躇するようなものはありませんでした。

雑誌類も充実しています。

館内の設備(大浴場・自動販売機・Wi-Fi)

館内の設備をご紹介します。

大浴場

窓から海が見える大浴場も、フェリー乗船時の醍醐味の一つでしょう。

ただし、風呂は乗船直後や夕食後は混雑するようです。朝も6時45分くらいに行ったら、もう人が多くて残念ながら入浴を諦めました。といっても、部屋にバスがあるのでそちらが利用できるのですがね。

自動販売機

自動販売機が船内のあちこちにあります。

アルコール類はアサヒ系またはキリン系でした。サントリー系は売店で角ハイボールが購入可能です。500mlのビールが310円、缶チューハイが160円などなので、やはりコンビニ価格と言えるでしょう。

コーヒーやソフトドリンク類も130円、160円です。

夜中に小腹がすいたらカップ麺もあります。

コーヒー専用の自動販売機。

コミュニティスペースには電子レンジもあったので、弁当類を持ち込んでも良いでしょう。

温かいものが購入できるホットメニューもあります。

食べたり呑んだりできるスペースもいくつかあったので、部屋から出てきてここらに集合して酒盛りするというのも船旅の醍醐味でしょうね!

こちらも夜は談笑スペースになっていました。

ゲームコーナーもあります。

WiFi

フェリーのネット事情ですが、船内WiFiがあります。

24時間で490円です。中央階段付近でないと繋がりません。ソフトバンク以外のユーザーは予めネットが繋がっている段階で申し込みをしておく必要があります。圏外になってからだと申し込めません。

スピードテストしたところ1Mbps前後だったので、とりあえずメールやメッセンジャーは使えるというレベルでしょうか。

電波事情としては、ぼくはドコモですが、陸地を離れると4Gは繋がりにくくなり、3Gで接続していました。23時30分くらいになると四国沖に出たためか3Gも繋がりにくくなったのでネットは諦めて睡眠しました。翌日、6時に目を覚ますと4Gが繋がるようになっていました。

食事(夕食バイキング・朝食バイキング)

旅のお楽しみの食事です!

船内レストランでは、バイキング形式での夕食と朝食を頂くことができます。

レストランの料金は次のようになっています。

・夕食バイキング
大人 1,540円
シルバー(65歳以上) 1,230円
小学生 1,030円
幼児(4歳以上) 620円

・朝食バイキング
大人・シルバー 620円
小学生 410円
幼児(4歳以上) 310円

夕食も朝食もかなりリーズナブルです!

この日は中津風唐揚げ、豚の角煮、カツオのたたきなど、九州の地のものを使った料理がありました。

生ビールは500円。これまた船の中だと思うと安い!

オープン直後は当然のことながら混雑するので、入浴するなどして時間をずらしてから食事に行くのがオススメかもしれません。

「さんふらわあ」の会社は神戸にあります。神戸の純米酒も頂きました。

続いては朝食バイキングです。

朝食バイキングの営業は7〜8時です。

朝は外の景色も見えるので、窓際の席がベストポジションです。

和洋折衷で頂きます!

2018年に新造船がデビュー

より船旅が楽しくなりそうなニュースもありました。2018年に大阪志布志航路に新造船がデビューするのだそうです。

バルコニー付きのスイートルームも良いですが、個人的に気になったのはプライベートシングルとプライベートベッドです。

カプセルホテルの個室のような扉付きのもの。

船旅の様子を動画で!

8時55分、無事に「さんふらわあ きりしま」は志布志港に着岸しました。旅は快適そのものでした。朝から元気全開です。

下船してから、よくぞこんなに大きなトラックが何台も入っていたもんだな‥‥とも驚きました。 そんな今回の旅の様子は動画でまとめてありますので、ぜひこちらもご覧ください。4分30秒の動画です。大阪から鹿児島までのフェリー旅がどんなものか、サクッとおわかり頂けると思います!

フェリーに興味を持った人は「フェリーさんふらわあ」もチェックです!

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旅、グルメ、酒場、Mac、iPhone、浦和レッズなど、自分が気になるモノとコトをひと回り拡張して提供するブログ「ネタフル」更新中。アルファブロガー2004、2006選出。第5回Webクリエーション・アウォードWeb人ユニット賞受賞。著書多数。好物は上シロとハラミとハイボール。カナダアルバータ州観光公社のソーシャルメディア観光大使。カルガリー名誉市民。ScanSnapアンバサダー。